【News】ノーベル化学賞受賞!――北川進先生の偉業と人柄に迫る

2025年10月8日、世界中の科学者たちが注目するノーベル賞の発表が行われました。

今年の化学賞に輝いたのは、京都大学高等研究院特別教授の北川進先生
その名が読み上げられた瞬間、日本の化学界は歓喜に包まれました。

受賞理由は「金属有機構造体(MOF)の開発」。
この聞き慣れない材料こそが、地球環境やエネルギー問題の解決に向けた鍵を握る“未来素材”なのです。

ノーベル化学賞受賞!北川進先生の偉業と人柄に迫る

🌌 MOFとは何か?──空間を操る化学

MOF(Metal-Organic Framework)は、金属イオンと有機分子を組み合わせて作られるナノスケールの多孔性材料です。

簡単に言えば、目に見えないほど小さな“穴”が無数に空いた構造体
これらの穴が、気体分子を選択的に吸着・分離・貯蔵する能力を持っています。

北川先生は1990年代からこの分野に取り組み、世界で初めてMOFの実用性を示しました。

特に注目されたのは、二酸化炭素(CO₂)を効率よく吸着する能力
地球温暖化の原因となるCO₂を“捕まえる”技術として、世界中の研究者が追随することになります。

さらに、MOFは水素やメタンの貯蔵、医薬品の送達、センサー技術など、環境・医療・エネルギー分野での応用が期待されています。

まさに「空間をデザインする化学」と言えるでしょう。


👨‍🔬 北川進先生の歩み──探究心とユーモアの人

北川先生は1951年、京都市に生まれました。

京都大学工学部を卒業後、同大学院で博士号を取得。
近畿大学、東京都立大学を経て、京都大学に戻り、教授として活躍されました。

現在は京都大学副学長も務め、教育・研究の両面で後進の育成に尽力されています。

受賞歴も華々しく、紫綬褒章、日本学士院賞、江崎玲於奈賞などを受賞。
英国王立協会の外国人会員にも選ばれるなど、国際的にも高く評価されています。

しかし、北川先生の魅力はその人柄にもあります。

趣味は探偵小説と歌舞伎観劇。研究の原動力は「無用の用」という荘子の言葉。
「役に立たないと思われたものが、実は役に立つ」という哲学が、MOFの発見にも通じています。

Kyoto University京都大学

🗣️ 印象的な言葉──科学と笑いの融合

受賞会見では、「ありがとうございます、グレート!」と笑顔で喜びを語り、「気体に期待」というダジャレで会場を和ませました。

科学者というと堅いイメージを持たれがちですが、北川先生はユーモアと柔らかさを持ち合わせた人物です。

また、「0を1にするパイオニアでありたい」という言葉には、研究者としての覚悟と誇りが込められています。

誰も見向きもしなかった分野に光を当て、世界を変える技術へと育て上げたその姿勢は、多くの若手研究者にとって希望の灯となるでしょう。


🌏 科学で世界を変える──未来へのメッセージ

北川先生は「空気はどこにでもある資源。これを自由に使えれば、平和な世界が実現できる」と語っています。

MOFはその可能性を秘めた技術。
空気中の成分を自在に操ることで、エネルギー問題や環境汚染の解決に貢献できるのです。

また、退職年齢を過ぎても研究を続けさせてもらえたことへの感謝も述べており、京都大学という場が、自由な発想と挑戦を支える環境であることも強調されました。


✍️ 終わりに──“無用”が世界を変える

北川先生の研究は、常識にとらわれない発想から生まれました。

「役に立たない」と思われていた空間が、実は世界を救う鍵だった──そんな逆転の発想こそが、科学の醍醐味です。

“無用の用”を信じ、誰も見たことのない世界を切り開いた北川先生。

その姿は、科学者だけでなく、すべての挑戦者に勇気を与えてくれます。

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