本日10月17日は「貧困撲滅のための国際デー(International Day for the Eradication of Poverty)」です。
前日の「世界食料デー」と並び、食と暮らしの根幹にある課題に目を向ける重要な2日間として、国際社会で広く認識されています。
皆さんも「声なき声」に耳を傾ける日として捉え、今一度この問題について考えてみてはいかがでしょうか?

貧困とは何か──数字では測れない現実
「貧困」と聞くと、まず思い浮かぶのは「収入が少ない」「生活が苦しい」といった経済的な側面かもしれません。
しかし、国連が定義する貧困は、単なる所得の不足にとどまりません。
教育、医療、住居、食料、水、そして人権へのアクセスが制限されている状態──それらが複合的に絡み合った「多次元的な貧困」が、今世界で問題となっています。
2025年現在、世界では約6億9000万人が極度の所得貧困(1日2.15ドル未満)で暮らしており、約11億人が健康・教育・生活水準など複数の面で深刻な困難を抱えています。
今年のテーマ:「屈辱と排除から参加へ」
2025年の国際デーのテーマは
Moving from Humiliation and Exclusion to Participation: Ending Poverty in All its Forms
屈辱と排除から参加へ──あらゆる形態の貧困に終止符を打とう
このテーマは、貧困層の人々が社会から孤立し、声を上げる機会すら奪われている現状に対して、彼らの「参加」を促すことの重要性を訴えています。
貧困は、社会的排除の原因であると同時に、その結果でもあります。
教育機関、医療施設、福祉サービスなど、本来支援の場であるはずの場所で、貧困層が差別や監視の対象となっている現実があるのです。
変革への3つの提案
国連は、今年の国際デーにあたり、以下の3つの変革を提案しています。
- 管理からケアへ
条件付き支援や複雑な手続きではなく、信頼を前提とした人間中心のサービス設計を。 - 監視から支援へ
監視や排除に資金を使うのではなく、家族支援・住宅・教育・メンタルケアなどに投資を。 - 上からの施策から共創へ
政策の立案・実施・評価のすべての段階に、貧困層自身の声を反映させる仕組みづくりを。
これらの提案は、SDGsの複数の目標(目標1・2・3・4・5・8・10・16)と連動しており、社会全体の包摂性を高めることにつながります。
貧困と食料──切っても切れない関係
前日の「世界食料デー」では、飢餓や栄養不良の問題が取り上げられました。
貧困と食料問題は密接に関係しており、食べることができない状況は、貧困の最も直接的な表れでもあります。
FAO(国連食糧農業機関)は、持続可能な農業と食料システムの改革を通じて、すべての人に安全で栄養価の高い食料を届けることを目指しています。
そのためには、貧困層が農業や地域経済の一員として取り残されないようにすることが不可欠です。
私たちにできること
貧困の撲滅は、政府や国際機関だけの課題ではありません。
私たち一人ひとりにも、できることがあります。
- フェアトレード商品を選ぶ
- 食品ロスを減らす
- 寄付やボランティアに参加する
- 貧困問題について学び、発信する
こうした日常の選択が、世界のどこかで苦しんでいる人の生活を支える一歩になるかもしれません。

おわりに──「誰ひとり取り残さない」社会へ
「貧困撲滅のための国際デー」は、ただの記念日ではありません。
それは、私たちが「誰ひとり取り残さない」社会を目指すための、行動のきっかけとなる日です。
貧困の中で暮らす人々の声に耳を傾け、彼らが社会の一員として尊重される未来を築くために、今日からできることを始めてみませんか?

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