【10月7日は何の日？】盗難防止の日！――守ることは、思い出を守ること

🛡️ 盗難防止の日に考える

10月7日、今日は「盗難防止の日」。

「とう（10）なん（7）」という語呂合わせから、日本損害保険協会が制定したこの記念日は、単なる啓発活動の一環ではない。
それは、私たちの暮らしの中にある「大切なもの」を、もう一度見つめ直すきっかけでもある。

盗難という言葉には、どこか物騒な響きがある。
けれど、実際に盗まれるのは、モノだけではない。

それに付随する「記憶」や「安心感」、そして「日常のリズム」までもが奪われることがある。

だからこそ、盗難防止の日は、単なる防犯対策の確認ではなく、「何を守りたいのか」という問いを私たちに投げかけてくる。

現代の盗難被害は、かつてのような「鍵のかかった金庫」や「夜の空き巣」だけではない。

スマートフォンの紛失による個人情報の流出、SNSの乗っ取り、ネットショッピングの詐欺、さらには自転車や車の盗難など、日常のあらゆる場面に潜んでいる。

防犯対策も進化している。
スマートロック、顔認証、GPS追跡、クラウドバックアップ。
技術は私たちの生活を守ってくれる一方で、油断や過信が新たな隙を生むこともある。

そして何より、盗まれることで失われるのは「モノ」そのものではなく、それにまつわる記憶や感情だ。

たとえば、長年使っていた自転車が盗まれたとき、失われるのは移動手段だけではない。

通学路の風景、友人との会話、雨の日の苦労──そうした日々の積み重ねが、モノとともに消えてしまう。

昭和の時代、玄関の鍵をかけずに外出する家庭も珍しくなかった。
地域のつながりが防犯の役割を果たしていた時代だ。
近所の人が見守ってくれる、誰かが声をかけてくれる──そんな「人の目」が最大のセキュリティだった。

しかし、都市化とともに「個人の責任」が強調されるようになり、鍵やセキュリティが「信頼の代替手段」として機能し始めた。
今では、スマートロックや監視カメラが当たり前になったが、それでも「安心」は完全には手に入らない。

防犯とは、技術だけではなく「意識の共有」でもある。
誰かが気づくこと、誰かが声をかけること──それが、盗難を未然に防ぐ最大の力になる。

この記念日は、私たちに「何を守りたいのか」を問いかけてくる。

それは物理的なモノだけではなく、日常のリズム、家族との時間、そして自分自身の安心感かもしれない。

たとえば、こんな行動が今日からできる：

これらはすべて、「守る」という行為の延長線上にある。
そしてその先には、「安心して暮らす」という、誰もが望む日常がある。

盗難防止の日は、「守る」という行為の意味を問い直す日でもある。

私たちは何を守りたいのか。
モノか、記憶か、安心か──。

鍵をかけることは、単なる物理的な防御ではない。
それは、自分の暮らしを大切にするという意思表示でもある。
そしてその意思が、周囲にも伝わることで、社会全体の防犯意識が高まっていく。

今日、あなたの暮らしの中にある「守りたいもの」を、そっと見つめてみてほしい。

それは、鍵のかかった引き出しの中にあるかもしれないし、誰かとの約束の中にあるかもしれない。
あるいは、日々のルーティンの中に、静かに息づいているのかもしれない。

盗難防止の日は、そんな「見えない大切さ」に気づくための、小さなきっかけなのだ。