【News】広島カキ、異例の遅れと不漁――地球温暖化が“海の恵み”を脅かす?

カキ漁解禁――養殖現場からの警鐘

2025年10月21日、広島県で今季のカキ漁がようやく解禁されました。
例年より20日遅れのスタートは、猛暑による海水温の異常上昇が原因とされています。

広島カキといえば、日本一の生産量を誇る冬の味覚の代表格。

私自身も毎年この時期を楽しみにしている一人ですが、今年は「身入りが悪い」「サイズが小さい」「殻の処理が追いつかない」といった声が現場から相次ぎ、将来的な不安も広がっているようです。

中国新聞デジタル【動画あり】

本ブログでは、2025年の広島カキ解禁の背景と課題、そして地球温暖化が養殖業に与える影響について、現場の声と科学的知見を交えて考察してみたいと思います。

【News】広島カキ、異例の遅れと不漁――地球温暖化が“海の恵み”を脅かす?

🦪 例年より20日遅れの解禁、その理由とは?

広島県では例年10月1日にカキ漁が解禁されますが、今年は10月21日まで延期されました。

その主因は、9月の広島湾の海水温が29.9℃に達し、過去30年平均より約5℃も高かったことです。
カキは水温が下がることで身が太り始めるため、高温が続くと成育が遅れ、小ぶりな状態での水揚げとなってしまいます。

漁業者の間では「身入りが悪く、出荷できるサイズに達していない」「例年より収量が減っている」といった声が多く、加工業者も「冷凍品でしのぐしかない」と対応に苦慮しているとのこと。

私もスーパーで見かけたカキが例年より小ぶりで、価格もやや高めだった印象を受けました。

📉 カキ殻の処理問題も深刻

さらに、昨年のカキ殻が大量に残っており、集積場が満杯という物理的な問題も水揚げの遅れに拍車をかけています。
広島市内の処理施設では「新たな殻を受け入れるスペースがない」という声もあり、出荷調整を余儀なくされている状況です。

このような“殻の渋滞”は、単なる物流の問題ではなく、養殖サイクル全体の停滞を意味します。
カキの成育、収穫、加工、廃棄という一連の流れが滞ることで、地域経済にも影響が及ぶ可能性があると感じます。

🌡️ 地球温暖化が養殖業に与える影響

今回の不漁の背景には、地球温暖化という構造的な問題があると考えられています。
広島湾の海水温上昇は、単なる一時的な猛暑ではなく、長期的な気候変動の兆候と捉えるべきでしょう。

温暖化による複合的な影響

  • 放卵・放精の頻度増加:高水温によりカキが何度も産卵・放精を繰り返し、体力を消耗
  • 幼生の死滅・採苗不漁:高水温や集中豪雨により、カキの幼生が死滅したり、エサが流される
  • 地域差の拡大:水温やエサの分布により、東広島沖では昨年の半分しか取れない一方、廿日市沖では比較的良好

また、地球温暖化に伴う海洋酸性化も、カキ養殖にとって脅威となっています。 海
水に溶け込む二酸化炭素が増えることで、海水が酸性に近づき、殻を形成する生物(カキやサンゴなど)に悪影響を及ぼす可能性があるのです。

日本財団の調査では、広島湾を含む沿岸部で短期的な酸性化現象が確認されており、将来的にカキの殻形成や成育に支障が出るリスクが指摘されています。
こうした科学的な知見を踏まえると、カキ養殖はまさに“気候変動の最前線”にある産業だと痛感します。

🧪 養殖業者の対応と模索

広島の養殖業者は、こうした環境変化に対応するため、さまざまな工夫を試みています。

  • 水深を深くする試み:高水温の影響を避けるため、養殖場所の変更や水深調整を検討
  • 育成期間の調整:カキの負担を減らすため、育成サイクルの見直し
  • 殻の再利用・処理技術の開発:殻を肥料や建材に活用する取り組みも進行中

しかし、これらの対策には時間とコストがかかり、中小規模の養殖業者にとっては大きな負担となります。
「このままでは広島でカキが取れなくなるかもしれない」という声は、決して誇張ではないと感じます。

📝 消費者にできること

広島カキは、冬の味覚として全国に流通していますが、その背景には地域の漁業者の努力と自然環境との闘いがあります。
消費者としてできることは、以下のような小さなアクションかもしれません。

  • 旬を知り、選ぶ:身入りが良くなる冬以降に、広島産を意識して選ぶ
  • 地元産を応援する:産地表示を確認し、地域ブランドを支える
  • 環境問題に関心を持つ:気候変動が食卓にどう影響するかを知る

私自身も、スーパーで広島産のカキを見かけたら「今年はどうかな?」と気にするようになりました。
食べることは、自然とのつながりを感じる行為でもあるのだと思います。

🌊 まとめ:海の恵みを守るために

2025年の広島カキ解禁は、単なる「遅れたスタート」ではなく、気候変動が地域産業に与える影響の警鐘として捉えるべき出来事でした。
広島カキは、日本の食文化の一部であり、地域の誇りでもあります。
その持続には、環境対策、流通改革、そして消費者の理解と支援が不可欠です。

「ぷりっ」とした身入りの良いカキを、これからも食卓で楽しむために
—— 私たち一人ひとりが、海と向き合う姿勢を持つことが、未来の味覚を守る第一歩なのかもしれません

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