男性型脱毛症(AGA)の治療薬として世界中で使われているフィナステリド。
その安全性について、近年非常に深刻な問題が浮上しています。
最新の研究と規制当局の発表によると、フィナステリド服用と自殺リスクの関連性が確認されたのです。
私自身もフィナステリドを服用していた時期もあり、かなりの衝撃でしたので、少し深堀してみたいと思います!!

■ フィナステリドとは?
フィナステリドは、テストステロンをジヒドロテストステロン(DHT)に変換する酵素を阻害する薬で、脱毛症や前立腺肥大の治療に用いられます。
AGA治療では1mgの低用量が処方されることが一般的です。
この薬は1990年代から世界中で数百万人に処方され、AGA治療の「救世主」とも言われてきました。
しかし、その裏で見過ごされてきたリスクが、今になって明らかになりつつあります。
■ 最新研究が示す事実
イスラエルの研究チームによる体系的レビュー(2017~2023年の8件の研究)では、フィナステリド服用者は非服用者に比べて気分障害や自殺念慮のリスクが有意に高いことが示されました。 [gigazine.net]
さらに、米FDAの副作用報告データ(FAERS)解析では、自殺関連事象の報告率が他薬剤の約5倍(ROR=5.0)という衝撃的な結果が出ています。 [ameblo.jp]

■ なぜリスクが高まるのか?メカニズムの可能性
フィナステリドはDHT生成を阻害しますが、その過程で脳内の神経ステロイド(アロプレグナノロンなど)生成も阻害します。
これらは気分調整に関与しており、阻害されることで抑うつ・不安・睡眠障害が起こる可能性があります。
動物実験では、神経炎症や海馬構造変化も示唆されており、長期的な影響が懸念されています。 [gigazine.net]
■ ポストフィナステリド症候群(PFS)
一部の患者では、服用中止後も以下の症状が長期間続くことが報告されています。
- 不眠症
- パニック発作
- 認知機能障害
- 自殺念慮
この「ポストフィナステリド症候群」は、医療現場でもまだ十分に認知されていませんが、患者の生活に深刻な影響を与えています。

■ 規制当局の対応
- FDA(米国):2011年にうつ病を副作用として認定、2022年に自殺リスクを追加。
- EMA(欧州医薬品庁):2025年5月、フィナステリド1mgと自殺念慮の因果関係を「確認」。患者警告カード導入。
- ベルギー:フィナステリド1mg経口薬の承認を撤回。
- フランス:販売停止を検討中。
■ なぜ長年見過ごされた?
一部の国ではフィナステリドが「化粧品」扱いされ、医薬品安全性監視の対象外だったことが背景にあります。
専門家は「これは単なる報告不足ではなく、医薬品安全性監視の組織的な欠陥だ」と批判しています。
■ なぜこの問題は重要なのか?
AGA治療は、見た目や自己肯定感に関わるため、若年層を中心に需要が高い分野です。
しかし、「見た目の改善」と「命のリスク」を天秤にかける状況は、倫理的にも社会的にも重大な問題です。
私が強調したいのは、情報の非対称性です。
多くの患者は「副作用は性機能障害程度」と思い込んでいますが、実際には精神面への影響が深刻で、場合によっては命に関わるリスクがあります。
さらに、製薬企業や規制当局の対応の遅れは、医療の信頼性を損なうものです。
今後は、承認後も継続的な安全性研究を義務化し、透明性を高める仕組みが必要だと考えます。
■ 服用中の人への注意
- 気分変化(抑うつ・不安・自殺念慮)を感じたら直ちに服用を中止し、医師に相談。
- 性機能障害も気分変化の一因になる可能性あり。
- EMAは患者向けカードで注意喚起を義務化。
■ まとめ
フィナステリドはAGA治療に有効な薬ですが、精神面への影響は軽視できません。
服用を検討する際は、医師と十分に相談し、リスクを理解した上で判断することが重要です。
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